「炎症と老化」ですが、とても深い関係があるのですが知っていたでしょうか。
特に近年は、**「慢性的な弱い炎症そのものが、老化を進める大きな要因の一つ」**と考えられるようになり、これを 「炎症性老化(inflammaging/インフラメイジング)」 と呼ぶのです。
大切なのは、炎症そのものが悪いわけではないという点です。
問題なのは「必要な炎症」と「終わらない炎症」の違いなのです。
炎症には「治す炎症」と「老化を進める炎症」があります
たとえば転んで傷をつくると、赤くなったり腫れたりします。
これは免疫細胞が集まり、傷ついた組織を修復するための急性炎症なのです。
役目が終われば炎症は収まり、身体は回復していきます。
一方で問題になるのが、
食生活の乱れ → 腸内環境の乱れ → 内臓脂肪の増加 → 酸化ストレス → 細胞の損傷 → 弱い炎症が続く
というような状態なのです。
痛みや熱がなくても、身体の中でごく弱い炎症が何年も続くことがあり、これが慢性炎症です。
なぜ慢性炎症が老化につながるのでしょう?
年齢を重ねると、傷ついた細胞や機能を失った**老化細胞(senescent cells)**が少しずつ蓄積します。
老化細胞は単に働かなくなるだけではありません。
炎症を促す物質を周囲に放出することがあり、すると周囲の組織にも影響が広がるのです。
老化 → 老化細胞の蓄積 → 炎症 → 細胞や組織へのダメージ → さらに老化
という循環が起こりやすくなるのです。
さらに慢性炎症は、血管、脳、筋肉、骨などさまざまな場所に関係するのです。
そのため研究では、動脈硬化、2型糖尿病、心血管疾患、認知機能低下、フレイル(筋肉量や筋力の低下、歩行速度の遅化、疲れやすさ)など、加齢とともに増える病気や身体機能低下との関連が調べられています。
ただし、「炎症さえ抑えれば老化を止められる」という単純な話ではありません。
老化には遺伝子、ミトコンドリア、ホルモン、免疫、筋肉量、生活環境など多くの要因が関係し、炎症はその中でも重要な一つです。
では、食生活で何ができるのでしょう?
ここが非常に興味深いところです。特別な「抗炎症食品」を一つ食べるより、毎日の食事全体を整えることの方が重要となるのです。
たとえば、
- 野菜、海藻、きのこ、豆類をしっかり食べる
- 魚、とくに青魚を取り入れる
- 果物やナッツ類を適量取り入れる
- 精製された糖質や甘い飲料を日常的に摂り過ぎない
- 超加工食品を減らす
- 良質なたんぱく質を毎食少しずつ摂る
- 食物繊維を増やして腸内細菌を育てる
- 食べ過ぎを続けない
という、ごく基本的な食生活が大切です。
そして食事だけではありません。筋肉を使うこと、十分な睡眠、喫煙を避けること、適正な体重を保つこと、ストレスをため込み過ぎないことも慢性炎症を抑える方向に働きます。
特に年齢を重ねてからは、「炎症を抑えるために食べる量を減らす」ことばかり考えるのは注意が必要です。
食事を減らし過ぎてたんぱく質やエネルギーが不足し、筋肉が減ってしまうことも老化を進める要因になるからです。
私はここがとても大切なポイントだと思います。
老化対策とは、若返るための特別な食品を探すことではなく、「身体の中で小さな火事を起こし続けない生活」をつくることです。
そしてもう一つ、身体が修復できる材料を毎日の食事からきちんと届けることなのです。
これは私が今までお話ししてきた「食の見直し」という考え方と繋がるとても大切なテーマになるのです。
