病気になる前から食・睡眠・運動を整える

身体に不調があると、何をするにしてもしんどいですよね。

そして、糖尿病・がん・高血圧はまさに「検査を上手に使いながら、病気になる前から生活を整える」ことが重要な疾患ではないでしょうか。

ただし、この3つですが少し性格が違います。

糖尿病と高血圧は「連続的にリスクが高まっていく病気」ですが、がんは「種類によって予防法・検診法・治療法が大きく違う病気」です。

1.糖尿病――「血糖値だけ」で判断しない

一般的には、空腹時血糖・HbA1cなどを調べ、必要に応じて75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)なども行います。

ここで大切なのは、HbA1cが正常だからといって、食後の血糖変動まで完全に分かるわけではないことです。

一方、「血糖スパイクがあるはず」と自己判断するのも避けたいところです。

また、糖尿病では、診断される前の「糖尿病予備群」の段階があり、この時期から、体重管理、運動、食事、睡眠、禁煙などを整えることには大きな意味があります。

そして糖尿病になった場合も、薬を単に「悪いもの」と考えるのではなく、食事・運動を土台にしながら、必要なら薬で血糖を安全な範囲に保つという考え方が大切です。

特に長期間の高血糖は、目・腎臓・神経だけでなく、心筋梗塞や脳卒中にも関係するため、薬が必要な段階で生活療法だけにこだわるのは得策ではありません。

2.高血圧――「一回の血圧」より日常の血圧を見る

高血圧は少し特殊です。血圧は緊張、睡眠不足、運動、気温、痛みなどでも変化します。

そのため診察室で一度測った数字だけでなく、家庭血圧を継続して測ることが非常に役立ちます。

家庭では、朝なら起床後1時間以内・排尿後・朝食や服薬前など、条件をなるべく揃えて測ります。

そして高血圧では、症状がないことが珍しくありません。

「頭も痛くないし元気だから大丈夫」とは限らないのが怖いところです。

高い血圧が長期間続けば、血管・心臓・脳・腎臓などへの負担が積み重なります。

生活面では、塩分を摂り過ぎない、野菜や果物を適量摂る、適正体重、運動、節酒、禁煙、十分な睡眠などが基本になります。

ただし、生活改善をしても十分下がらない場合や、血圧がかなり高い場合、心血管リスクが高い場合には降圧薬が重要です。

ここでも、「薬か自然療法か」ではなく、「生活改善を土台に、必要な医療を組み合わせる」という考え方が安全です。

3.がん――「血液検査が正常=がんがない」ではない

ここは特に知っていただきたいところです。

通常の健康診断の血液検査が正常でも、すべてのがんを否定することはできません。

また、腫瘍マーカーも「これを測れば早期がんを全部発見できる」という検査ではありません。

がんの種類によっては、早期には腫瘍マーカーが上昇しないことがあります。

だからこそ重要なのが、科学的根拠の確立したがん検診です。

日本では、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんなどについて、年齢などに応じた検診が推奨されています。

そして、「食の見直し」を発信する側として言えることですが、

食生活、運動、適正体重、禁煙、節酒などによってがんになる確率を下げることはできます。

しかし、「この食品を食べればがんにならない」「添加物を避ければがんにならない」「免疫力を高めればがんを治せる」とは言えません。

がんが見つかった場合には、手術・放射線治療・薬物療法(抗がん剤、分子標的薬、免疫療法など)を、がんの種類・遺伝子の特徴・進行度・本人の状態に応じて選択します。

そして食事や運動、睡眠などは、標準的ながん治療と対立させるのではなく、身体を支えるものとして組み合わせるのが基本です。

3つに共通する「検査との付き合い方」

次のように整理すると、とても分かりやすいでしょう。

① 病気になる前→ 食事・運動・睡眠・禁煙などでリスクを下げる。

② 定期的に検査・検診を受ける→ 自覚症状がなくても変化を探す。

③ 数字だけでなく経過を見る→ 前回との変化、家庭血圧、体重なども見る。

④ 異常が出たら必要な精密検査へ進む→ 「生活を改善するから病院には行かない」としない。

⑤ 病気が見つかったら、生活改善と医学的治療を組み合わせる。

つまり、検査は「病気になってから受けるもの」だけではありません。
病気を早く見つけ、将来のリスクを知り、生活を見直すためにも使うものです。

そしてもう一つ大切なのは、「検査で異常なし」と「身体のどこにも病気がない」は同じ意味ではない一方、「異常なし=何かが隠れて進行している」という意味でもないといえます。

「健康診断で異常なし。それでも安心しすぎてはいけない理由」

糖尿病→高血圧→がん→日常でできること、また検査を否定せず、「検査を生かしながら病気になる前から身体を整える」には・・・

健康診断を受けて、「異常ありません」と言われると、ほっとしますよね。

もちろん、それは喜んでよいことです。

でも私は、「異常なし」という言葉を、「今の生活を何も変えなくても、これからも病気にならない」という意味に受け取らないことが大切だと思っています。

検査には、それぞれ「分かること」と「分からないこと」があるからです。

身体の状態は、健康か病気かの二つにきれいに分かれているわけではありません。

健康な状態から少しずつ変化し、やがて検査値の変化や症状、病気として現れてくることがあります。

だからこそ、病気が見つかってから身体をいたわるのではなく、元気なうちから身体を整える。

そんな考え方が大切なのではないでしょうか。

糖尿病――血糖値だけで安心しない

糖尿病を調べるときには、空腹時血糖やHbA1cなどが使われます。

HbA1cは過去1〜2か月ほどの血糖状態を反映する、とても役立つ検査です。

しかし、健康診断で一度測った血糖値だけでは、毎日の食後血糖の動きまですべて分かるわけではありません。

そして糖尿病には、正常な状態から突然なるのではなく、「糖尿病予備群」と呼ばれる段階があります。

だからこそ、「まだ糖尿病ではないから大丈夫」ではなく、まだ病気になっていない時期こそ生活を見直すチャンスと考えてみましょう。

甘い飲み物やお菓子に偏らない。
精製された炭水化物を食べ過ぎない。
野菜、豆、魚、海藻、きのこなどを取り入れる。
食後に少し身体を動かす。
筋肉を維持する。
十分に眠る。

こうした毎日の積み重ねが大切です。

そして糖尿病と診断された場合には、食事や運動だけにこだわらず、必要であれば薬も利用します。

高血糖を長期間放置することのほうが、目、腎臓、神経、心臓や血管などに大きな負担をかけるからです。

高血圧――症状がないからこそ測ってほしい

高血圧は、自覚症状がほとんどないまま進むことがあります。

「頭痛もない」
「身体も元気」
「普通に働ける」

それでも血圧が高いことがあります。

高い血圧が長く続けば、血管だけでなく、心臓、脳、腎臓などにも負担が積み重なります。

だから血圧については、病院で測るだけでなく、家庭で継続して測ることがとても役立ちます。

大切なのは、一回の数字に一喜一憂することではありません。

同じような条件で測り続け、「自分の血圧がどのくらいなのか」
「以前より上がってきていないか」
という流れを見ることです。

そして食生活では「四毒(小麦、植物油、乳製品、甘い物)」をできるだけ遠ざけることをお勧めします。

また、適正体重を保ち、身体を動かし、睡眠を整えることが大切です。

それでも血圧が高い場合には、必要に応じて降圧薬を使います。

「薬を飲みたくないから我慢する」のではなく、生活を整えながら、必要なところは医療の力を借りる。

私はこの考え方が大切だと思います。

がん――普通の血液検査だけでは分からない

そして、もう一つ知っておきたいのが「がん」です。

健康診断の血液検査が正常だからといって、身体のどこにもがんがないと断定することはできません。

腫瘍マーカーについても同じです。

腫瘍マーカーが正常でも、がんが存在する場合がありますし、逆に高くてもがんではない場合があります。

だからこそ、年齢や性別などに応じた適切ながん検診が大切になります。

胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんなど、それぞれに適した検診方法があります。

「何も症状がないから受けない」のではなく、症状がない人の中から病気を早期に見つけるために検診を受ける。

これが大切なのです。

食生活でがんを防げるのでしょうか?

ここは誤解してほしくないところです。

食生活を整えること、身体を動かすこと、適正体重を維持すること、たばこを吸わないこと、お酒を控えることなどによって、一部のがんのリスクを下げることはできます。

しかし、「この食品を食べれば、がんにならない」「添加物を全部避ければ、がんにならない」「自然療法だけで、がんを治せる」ということではありません。

私たちができるのは、病気になりにくい生活環境を毎日の中でつくっていくこと。

再度言いますが、食生活では「四毒(小麦、植物油、乳製品、甘い物)」をできるだけ遠ざけることをお勧めします。

そして、もし病気が見つかったら、医学的な治療をきちんと検討しながら、食事・睡眠・運動などで身体を支えていくことです。

「異常なし」をゴールにしない

私は、健康診断の結果を見るとき、「正常か異常か」だけを見るのではなく、「去年の私と比べてどう変化したのだろう」と考えることも大切だと思っています。

血圧は上がっていないか。

血糖値やHbA1cは少しずつ上昇していないか。

体重や腹囲は増えていないか。

以前より疲れやすくなっていないか。

便通はどうか。

睡眠はどうか。

歩く力や筋力は落ちていないか。

検査の数字と、毎日の身体の変化などその両方を見ることが大切です。

病気になってからではなく、元気な今から

私は「検査を受けなくてもいい」と言いたいのではありません。

むしろ逆です。

検査を上手に利用しながら、検査だけに健康を任せない。

健康診断を受ける。

必要ながん検診を受ける。

血圧を測る。

身体の小さな変化にも目を向ける。

そして毎日の食事、運動、睡眠を整えていく。

病気が見つかってから慌てて生活を変えるのではなく、「異常なし」と言われている今だからこそ、身体を大切にする。

健康とは、検査表に○をもらうことだけではありません。

朝起きられること。

自分の足で歩けること。

美味しく食べられること。

よく眠れること。

家族や友人と笑えること。

そして、自分らしい毎日を送れること。

その生活を一日でも長く続けるために、食べること、動くこと、眠ること、そして必要な検査を受ける。

どれか一つではなく、すべてを大切にしていきたいものです。

検査を大切にしながら、検査の数字だけに健康を任せない。

これが、病気になる前から自分の身体を守る「食と暮らしの見直し」につながっていくのではないでしょうか。

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