グルテンフリーは「誰にでも必要」というものではありませんが、必要な人には非常に重要で、そうでない人は“小麦製品の選び方を見直す”という考え方のほうが適切です。
グルテンとは
グルテンは、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるたんぱく質の一群で、パンの弾力や、うどんのコシを生み出します。
問題になる代表例は、セリアック病、小麦アレルギー、非セリアック性グルテン過敏症です。
特にセリアック病ではグルテンを食べることで免疫反応が起こり、小腸の粘膜が傷つくため、厳格なグルテン除去が治療になります。
一方、健康な人すべてがグルテンを避けることで健康になる、という十分な根拠はありません。
「小麦を控えたら体調が良くなった」は、グルテンだけとは限りません
ここはとても大切なのですが・・・
パン、菓子パン、ケーキ、クッキー、ピザ、インスタント麺などを減らすと、グルテンだけでなく、砂糖、精製された小麦粉、塩分、加工食品、過剰な脂質なども同時に減ることになります。
また、小麦に含まれる「フルクタン」という発酵性糖質が、お腹の張りやガスなどに関係する人もいます。
そのために、「小麦をやめて調子が良くなった=グルテンが悪かった」とまでは断定できないのです。
ただし、日常的にパンや麺、お菓子に偏っている人が、そこから米・魚・豆・野菜・海藻・いも類を中心とした食事へ戻すことには、大きな意味があります。
日本人には、グルテンフリーは意外とやりやすい
特別な「グルテンフリー食品」を買わなくても大丈夫です。
たとえば朝なら、ご飯+味噌汁+焼き魚+ぬか漬け。昼なら、具だくさんおにぎり+卵焼き+野菜のおかず。夕食なら、玄米またはご飯+魚や肉+煮物+おひたし+味噌汁。
これだけで自然に小麦を大きく減らせます。
料理も、こんな置き換えができます。
- 小麦粉のお好み焼き → 米粉+山芋+キャベツ
- パン → ご飯・おにぎり・焼き芋
- パスタ → 米粉麺・ビーフン
- うどん → 十割そば(つなぎの小麦に注意)・米粉麺
- 小麦粉の唐揚げ → 片栗粉・米粉
- カレーやシチューのルウ → 米粉でとろみをつける
- 餃子 → 米粉の皮、あるいは薄切り大根で包む
- ケーキやクッキー → 米粉・おから・きな粉を利用
例えば、大根を皮代わりにした餃子や、米粉を使った大根のお好み焼きなどは、「我慢するグルテンフリー」ではなく、まさに日本の食材を生かした置き換え料理になります。

注意したい「隠れ小麦」
しょうゆ、めんつゆ、カレールウ、シチュールウ、ドレッシング、加工肉、練り製品などにも小麦が使われることがあります。
ただし、医学的に厳格なグルテンフリーが必要な人と、「食生活を整えるために小麦を減らしたい人」とでは、ここを分けて考えましょう。
後者なら、調味料に含まれる微量の小麦まで神経質に排除する必要は通常ありません。
それよりもまず、パン・麺・菓子・小麦主体の加工食品を減らすほうが実践しやすいでしょう。
そして、セリアック病などが疑われる場合は、自己判断で完全除去を始める前に検査を受けることが重要です。先にグルテンを抜くと、検査結果に影響することがあります。
つまり「グルテンフリー」という言葉で「小麦を抜く」ではなく「ご飯と日本の食材に戻す」ために「食の見直し」をしていくことがとても大切だと思います。
【小麦を手放しても、食卓はこんなに豊か】
「グルテンフリー」と聞くと、パンも麺も食べられない。
何を食べればいいの?と思うかもしれません。
でも、日本には昔から小麦に頼らなくても楽しめる食事がたくさんあります。
ご飯、玄米、魚、卵、豆腐、納豆、野菜、海藻、いも類、きのこ、味噌汁。
朝は、ご飯と具だくさんのお味噌汁、焼き魚にぬか漬け。
昼は、具だくさんのおにぎりと卵焼き。
夜は、ご飯に魚やお肉、煮物やおひたし。
これだけでも、小麦をほとんど使わない食卓になります。
私は「食べてはいけない」と考えるより、「何に置き換えたら、おいしく食べられる?」と考えるほうが好きです。
小麦粉のお好み焼きなら米粉へ。
パンならおにぎりや焼き芋へ。
唐揚げなら小麦粉ではなく片栗粉や米粉へ。
餃子の皮だって、薄切り大根で代用できます。
ただし、グルテンはすべての人にとって「悪いもの」ではありません。
セリアック病や小麦アレルギーなどでは厳格な除去が必要ですが、健康な人全員がグルテンを抜く必要があるとは言えません。
それでもパン、菓子パン、ケーキ、クッキー、麺類などを減らすことで、精製された小麦だけでなく、砂糖や加工食品を食べる機会も一緒に減らせます。
だから私が大切にしたいのは、「グルテンを怖がること」ではなく、
「昔ながらの食事に少し戻ってみること」。
小麦を手放したら、食べるものがなくなるのではありません。
むしろ、お米や野菜、魚、豆、海藻など、日本の食卓の豊かさをもう一度発見できるかもしれません。
食の見直しは、「我慢すること」ではなく「選び直すこと」なのだと思います。
1週間の「無理をしないグルテンフリー献立」
| 曜日 | 朝 | 昼 | 夜 |
|---|---|---|---|
| 月 | ご飯・焼き鮭・味噌汁・ぬか漬け | 具だくさんおにぎり・卵焼き | 鶏の塩焼き・ひじき煮・青菜 |
| 火 | 玄米・納豆・味噌汁 | 米粉のお好み焼き | イワシの塩焼き・大根煮・酢の物 |
| 水 | ご飯・卵焼き・海苔・味噌汁 | ビビンバ | 豚肉と野菜の蒸し物・冷や奴 |
| 木 | 焼き芋・ゆで卵・野菜スープ | おにぎり・具だくさん豚汁 | 大根皮の餃子・青菜・ご飯 |
| 金 | 玄米・納豆・ぬか漬け・味噌汁 | 十割そば※・卵・野菜 | 刺身・茶碗蒸し・煮物・ご飯 |
| 土 | ご飯・焼き魚・味噌汁 | 米粉麺の野菜たっぷり麺 | 手巻き寿司・お吸い物 |
| 日 | おにぎり・卵・具だくさん味噌汁 | 米粉カレー | 魚または鶏肉・温野菜・ご飯 |
※十割そばでも、商品や調理環境によって小麦が混入する場合があります。セリアック病などで厳格な除去が必要な場合は表示確認が必要です。
この献立で私が特におすすめしたい考え方は、「グルテンフリー食品を買い集めない」ことです。
米粉パンやグルテンフリーのお菓子ばかりに置き換えてしまえば、「加工食品中心」という食生活そのものはあまり変わりません。
ご飯+汁物+主菜+野菜。
ここを基本にすると、グルテンフリーを意識しなくても、自然と小麦の少ない食生活になります。
小麦粉の代わりになるもの7選――米粉・片栗粉・大根・じゃがいも・山芋など
では、「1週間グルテンフリー献立」として、特別な食品は使わず、和食中心で組んでみますと・・・
月曜日。朝は玄米ごはん、味噌汁、焼き鮭、ぬか漬け。昼は具だくさんおにぎりと卵焼き、青菜のおひたし。夜は鶏と根菜の煮物、冷ややっこ、ごはん。
火曜日は、朝、ごはん、納豆、味噌汁、海苔。昼は米粉麺の焼きそば風、野菜たっぷりで。夜はサバの味噌煮、ひじき煮、味噌汁、玄米ご飯。
水曜日。朝は味噌汁とおにぎり、梅干し。昼は米粉のお好み焼き、山芋とキャベツでふんわりと。夜は豚しゃぶ、野菜添え、ごはん。
木曜日は、朝、お粥に梅干しとしらす。昼は十割そば、つなぎなしを確認して。夜は鶏つくねと野菜のスープ、ごはん。
金曜日。朝はごはん、具だくさん味噌汁、納豆。昼はビビンバ風、米と野菜と卵でバランスよく。夜は白身魚の塩焼き、切り干し大根、味噌汁。
土曜日は、朝、玄米と味噌汁、ぬか漬け。昼は米粉パンを使うならシンプルに、スープと卵中心で。米粉パンがなければおにぎりで十分です。夜は手巻き寿司、具は魚と卵、野菜で。
日曜日は、朝はおにぎりと味噌汁。昼は残り野菜で雑炊やスープ。夜は魚の煮付け、青菜の和え物、ごはん。
ポイントは、無理をしなで「和食に戻す」ってことです。
そして調味料に小麦が入ってても、厳格な除去が必要でなければ、まずは主食と主菜から整えることです。
